私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「アメリカン・ギャングスター」

2008-02-08 21:24:00 | 映画(あ行)

2007年度作品。アメリカ映画。
マフィアの運転手だったフランクは亡きボスの地盤を継ぎ、新しい麻薬ルートを開拓して、街を裏から牛耳ることに成功する。一方腐敗がはびこる警察の中で、清廉を通すリッチーは新しい麻薬の存在を知り、その撲滅を狙う。
監督は「グラディエーター」のリドリー・スコット。
出演は「トレーニング・デイ」のデンゼル・ワシントン。「ビューティフル・マインド」のラッセル・クロウ ら。


ギャングの抗争と、麻薬を扱うマフィアの撲滅をねらう捜査官の映画というテーマがすべてを示しているが、きわめて重厚な作品である。150分強という長めの作品であるが、長いわりに退屈せずに見ることができたのは、重厚なテーマを丁寧に描きあげていることが大きいと思う。

麻薬を売りさばく黒人マフィアと捜査官の造形は特に丁寧だ。
賄賂を受け取らず清廉潔白な捜査官を、元妻が責めるシーンがあるが、汚い自分がいるから、賄賂を受け取らないという描写は皮肉に富んでいて、個人的には興味を引かれた。またマフィアとしてのし上がっていく男の姿も説得力に富んでいたと思う。

映画の中では警察官の腐敗や、ベトナム戦争の戦死者の棺に麻薬をかくすという、倫理的にどうよ、というシーンが出てくる。それを丹念に描出したところは個人的には好ましい。

だがそんな重厚な題材のわりに、後々までそれほど心に残らない。丁寧に描いているのは事実だが、上で触れた部分が、丁寧なわりにそこまでの深みに達していないからだと思う。
だが、トータルの質が高いため、見応えのある作品に仕上がっているのは確かだ。見ても少なくとも損はしないはずだ。

評価:★★★(満点は★★★★★)


出演者の関連作品感想:
・デンゼル・ワシントン出演作
 「インサイド・マン」

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